JOURNAL

INTERVIEW

AS IT IS にまつわる方へのインタビュー

「 新潟県燕市・山崎金属工業 」

AS IT IS立ち上げからのパートナーと語るものづくりの本質

2017年にブランド「AS IT IS」を立ち上げた際に最初に発表した製品「IROAI」の金型を提供し、製造をサポートしている山崎金属工業株式会社。その後、ブランド内人気NO.1シリーズ「SUGATA」の開発、製造を担い、AS IT ISに欠かせない存在となった。そんな山崎金属工業株式会社の成り立ちから教えてもらう。

戦争の傷跡から立ち直る職人の力

――AS IT ISの勃興期からなくてはならないパートナーですが、御社の成り立ちや歴史をお聞かせください。

山崎)うちの初代は1918年に玉川堂*三代目玉川覚平さんののれん分けされた玉栄堂で鎚起銅器職人をしていました。

鎚起銅器を行っていた職人がスプーン・フォークの需要拡大を機に独立開業し、その後第二次世界大戦中は軍事工場として稼働、終戦後改めてGHQの要請でカトラリーを作ることとなりました。当時はOEMを軸としていましたが、1980年にはアメリカにて「ヤマザキ」というブランドを始め、自社商品で世界へ展開を始めました。そのころはライバル企業から脅迫があったほどでした(笑)

その後差別化のためにデザイナーを沢山雇い、最終的には「山崎はカトラリーのデザイン会社だ」と言われるほど頑張ってきました。


*新潟県燕市の伝統工芸「燕鎚起銅器」の老舗メーカー


ノーベル平和賞の話に繋がりますが、海外で活躍の場を広げていた中で、縁がありゴナ・セリンという、後にノーベル賞晩餐会用カトラリーのデザインを担当する方と知り合いました。

1991年がノーベル賞創設90周年に当たり、その年の3年前から「ノーベルテーブル」の企画が始まったがスウェーデン国内で良いカトラリーのメーカーが見つからなく、デザイナーの推薦もあり、本場ヨーロッパのメーカーではなく山崎金属工業に声がかかりました。

この「ノーベル平和賞晩餐会に採用される品質=世界が認める確かな品質」と評価を受けるようになり、いろいろなビジネスに繋がりました。

――現在のヒット商品「カレー賢人」については

山崎)山崎金属工業っていうと高い商品しかないと身構えてしまうところがあるので、身近な道具が作れないかと、絶対カトラリーを使う国民食の道具を作ろうと思って。

一つのきっかけは僕がインドに行ったときのことでした。スプーンでカレーを食べている人もいたけれど手で食べている人も多かったんですよ。そこで僕も手で食べてみたら、そのほうがおいしかった。それが悔しくて(笑)そこでカレー用スプーンを作ろうと思いました。

カレー専門店の人にいいねと言われたくて、意見調査に4年かかりました(笑)
「カレーマニアの女性にはこのスプーンは大きくない?」と聞いてみたら、怒られたこともありました。
「大きな口で食べるのが美味しいんだよ!」と。

最初はカレー専門店への導入を目標にしていましたが、お客様との距離が近づいてきて、カレースプーンが新しい道へ導いてくれたのだなと考えています。

AS IT ISと創り上げる新しいカトラリー

――AS IT ISとの出逢いは

山崎)まず株式会社MGNETの武田社長から声がかかって。何をするんだと思ったら集まっていたメンバーが最強でした。社内でも(AS IT ISのメンバー構成が)うらやましいという声があり、参加したいと思いました。僕たちに何ができるのか分からなかったので、お話を聞きながらでしたが。

――一番最初にリリースした製品「IROAI」について

山崎)面白いと思ったのが、元々弊社で持っていたデザインでしたが、カジュアルな製品なのに頑張って作ったせいで値段が高くなり、売れ行きが良くないものでした。

これに中野科学さんの技術が入ったことで、見た目も面白いし、付加価値が加わると売れていくのだなとわかりました。

――次にリリースした「SUGATA」の企画デッサンを見て頂いたときに面白いと言っていただきましたね

山崎)OEMで仕事を受けるときは弊社から改善提案をしますが、いつもより熱が入って口を出したくなっちゃいました(笑)新しい形状で、今の料理にも合っている良い形をしているなと思いました。見た目も素晴らしいと思っています。

――ハンドル部分が特徴的な作りだとか

山崎)形が特徴的なので、熱間鍛造でしか作れないです。だから丸い。丸みがあるから横から見たときに美しいと感じるようになっている。丸みがあって手に馴染む美しいデザインです。

ものづくりはデザインから始まるが、デザインと技術が合体して良いものができていくんです。

――熱い技術への探求心が宿っていますね。

道具を超えて、人生を変える

――山崎金属工業さんが考える「良いカトラリー」とは

山崎)いいカトラリーというのは僕らのテーマでもありますが「生活に豊かさと潤いを提供する」ものだと思います。道具としてのカトラリーではなく、機能がもう少し上に行くと料理が美味しくなる。美味しい料理を食べているときに不機嫌な人はいないですよね。良い道具が人生を変えるんです。

――プラットフォームブランドであるAS IT ISに求めることは

山崎)多分、AS IT ISはこの産地の一つのアイコンになっていくと思います。ぼくたちも頑張らなければと思っています。

お互いに切磋琢磨してやっていけば燕三条を代表するブランドになっていけると思います。せっかく地場でやっているので、コミュニケーションを取りながらやっていければお金に換えられないものになると思います。

――楽しく苦しいものづくりをやっていきましょう

山崎)世の中の人に、先人から受け継いでいるものを伝えて良ければと思います。

――ありがとうございました。


インタビュー後は山崎金属工業株式会社で開催されているスプーンの使い比べ体験をさせていただきました。

山崎金属工業株式会社

新潟県燕市・山崎金属工業

会社名:山崎金属工業株式会社
所在地:新潟県燕市大曲2570番地
創業  :1918年
設立  :1952年3月
TEL  :(0256)64-3141(代表)
※ショールーム見学は事前予約のみ(土日祝:休業)

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